車でかけたCDを紹介するだけの回63つの約束(わかちあいの会)

2025年05月08日

日常の謎「空飛ぶ馬/北村薫」

まいど。
 人生の午後をおもしろおかしく暮らす、つるたやです。

 ワタクシの第二次(?)ミステリブームが、大学生活終盤から
就職して7,8年まであって、まあまあの冊数を乱読していた、
というような話を書いていました。

 で、
その時期のミステリのセレクトには“書痴”FS君が
関わってきている
のですが、今回も彼の持ち込み企画(?)です。


 これについては、ワタクシ、8年くらい前に某所で、こんな風に
紹介をしているのを発見してしまいました。

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 今からちょうど30年前、講談社の仕掛けた“新本格ミステリ”ムーブメントが始まりました。

 まあ、その話を始めると長いので、ワタクシの解釈を簡単に言うと
「昔ながらの謎解きを、あんまり古臭くない感じで書いた若手作家を売り出す」という動きです。

 綾辻行人、有栖川有栖などなどの方々が第一世代、
 京極夏彦、森博嗣なんかが第二世代とか色々です。以上終了。

 さて、そんなミステリーファン大騒ぎの中、“人が殺されない”ミステリとして
出版された本書、「空飛ぶ馬」は大御所、鮎川哲也の肝いりで、平成元年に
東京創元社から出版されました。

 作者北村薫は、性別年齢不詳の覆面作家であり、このへんの売り方に、
ミステリ出版界最古参の意地を感じたのはワタクシだけでしょうか。

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 『ワタクシだけでしょうか』じゃないよ、って思いますが、さておき、
綾辻行人以来の“出たら買う作家”となりました。

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 長年推理小説を読んでいる内に、殺人トリックの謎を解き明かすことが
愉しみになっていたワタクシにとって、“人が殺されない”ミステリは
それなりに事件でした。

 だって、新本格とかって、連続殺人が基本で、顔がわからなかったり、
首が無かったりは日常茶飯事で、血腥いことこの上もなし、でしたから。

 別に殺人のトリックでなくてもいいじゃん?(もともとスプラッターは苦手である)
そう思ったのは当然でしょう。

 そう、我々(誰?)は、ただ単に、うまく騙されたいのです。
 しまった!その手があったか!と驚きたいだけなのです。

 日常のいたるところに謎は在り、また謎などは無いのであります。

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 なんか以前泡坂妻夫の時に似たようなことを書いてたような気もしますが、
綺麗にだましてくれればそれでヨイのです。 

 蛇足:北村薫のデビュー作となった本書は、その後シリーズ化されたわけですが、
東京創元社から出たハードカバーの表紙は全て高野文子によるもので、
ちょっとずつ成長する主人公が描かれており、とても良い仕掛けでした。

 創元推理文庫で文庫版が出るにあたって、その表紙をそのまま採用したのは
英断であったと思います。

 それでは表紙絵コレクションをどうぞ。

私と円紫シリーズ

んでわ。


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