グリーフ

2024年09月23日

講座『グリーフケアってなに?』を受講しました

まいど。
 人生の午後をおもしろおかしく暮らす、つるたやです。

 いつもお世話になっております“仙台グリーフケア研究会”が
開催した講座『グリーフケアってなに?』を聴講してまいりました。

 ざっくりとした内容については、以前の記事をごらんいただくとして、
ワタクシメからは雑感など。

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 職場を抜け出して最寄りの地下鉄駅まで車で向かい、park & ride。
 地下鉄南北線の北のはずれから、一路南へ。

 地下鉄河原町駅を降りて徒歩7分(GoogleMap調べ)の会場は
グリーフケアのファシリテータ研修でお馴染み、仙台市医師会館である。

 ここは仙台市急患センターでもあり、緊急の発熱外来として機能している。
 当然、日曜だろうが門は開かれているのだが、毎回、入りやすいような、
入りにくいような、妙な気分になる。

 会場である二階ホールに、開始5分前になんとかたどりついたら、
受付は全員知った顔であった。
 そう、普段、わかちあいの会のお手伝いをしている面々が、会場の設営から
受付担当、進行、おそらく撤収に至るまで行っているのであった。

 当然、平時であればワタクシもその中にいるところであろうが、
そこは日曜日が営業日である悲しさで、こうして土壇場で抜け出して
参加するのが精いっぱいであった。
 ドタキャンならぬドタ参である。とほほ。

 受付でなんだか立派な冊子と三つ折りのパンフレットなどを受けとると
なんとなく後ろめたいので、そそくさと会場にはいった。

 講演時間は60分。
 長すぎない、というのは大事だとは思うが、ファシリテータ研修では
1つのテーマに6時間くらいかけて、10回ほど実施していたくらいだし、
60分にまとめるのはけっこう大変だったのではないか。

 そこに、講演者自身の関わるきっかけや、仙台グリーフケア研究会の
成り立ちなんかも詰め込んできたので、まだこの方面に詳しくない方には
情報量の多さに戸惑う方もいたのではないかと思う。

 ただ、最初にグリーフとは何かを語ってから、様々な角度からの
アプローチを説明していたように思うので、興味深く聴講しただろうとも思う。

 ワタクシ個人としては、仙台グリーフケア研究会の代表である滑川明男氏が
グリーフケアにかかわることになった契機を知ることができたのが面白かった。

 仙台グリーフケア研究会には、研修以来ここ3年ほどお世話になっているのだが、
実際に死別等のグリーフを経験していて、それをきっかけにグリーフケアに
関心を持った人がほとんどである印象だ。

 そんな中で、代表である滑川氏は、心臓外科医であったにもかかわらず、
グリーフケアの活動をするうちに、転身して、グリーフケアを行う病院を
設立するに至った、と漏れ聞いていた。

 ワタクシ自身、グリーフは人生を変え得る、とは思っていたので、
心臓外科から精神科へ劇的な転身の裏で、滑川氏は余程のグリーフを
経験したに違いない、と勝手に思い込んでいたのであった。

 しかし実際には一冊の本との出会いが、滑川氏をグリーフケアの道へと
進ませたらしい。
 本を読んで衝撃を受けて有識者を探し当て、そのつてでグリーフケアの
活動を始め、転職までしたという行動力とバイタリティには驚きを禁じ得ない。

 実はけっこうすごい人だ。

 しかしそんなすごさは微塵も感じさせずに、60分きっかりで
講義を終えて、質問コーナーに突入である。

 正直質問コーナーで30分と聞いて、仕込みの存在を疑っていたのだが、
そんな質問は出なかったし、意外に感想のような話が多かった。

 それらに丁寧に答えていたので、30分間は意外にあっさり終わったが、
ご自身の病院わかちあいの会の宣伝を、もうちょっとしても良かったんじゃないかな?

グリ研922

んでわ。


tsurutaya at 23:30|PermalinkComments(0)

2024年08月19日

講座『グリーフケアってなに?』のご紹介

まいど。
 人生の午後をおもしろおかしく暮らす、つるたやです。

 いつもお世話になっております“仙台グリーフケア研究会”で、
講座『グリーフケアってなに?』を開催いたします。

 内容については、以下、チラシより抜粋です。

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 大切な人、かけがえのない人を亡くした時に人々が抱える思い・反応をグリーフと言います。

 悲しい、つらい、苦しいだけじゃなく、後悔、自責の念、恨み、怒りなどもグリーフです。

 最近、耳にすることがあるグリーフケアとは何か?

 グリーフを無くしてくれるのがグリーフケアなのか?

 グリーフケアとは、グリーフに向き合うことをお手伝いすること。

 長年グリーフケアに関わってきた講師がグリーフケアについてお話しします。

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 ワタクシが上記説明に付け加えるようなことは特にないのですが、
“グリーフ”という、人生でほぼ誰にでもあるであろう心の動きについて、
ちょっとでも気になる方は、聞いてもいいと思います。

 なんなら聞かずとも、ネットで調べてみてもいいですし、
調べてなお知りたい気持ちがあったり、わからないことがあるならば、
質問タイムもありますから、是非ご参加ください。

■日時:9月22日(日祝)14:00~15:30
■場所:仙台市医師会館2階ホール
■参加費:1000円

 ※事前の申し込みが必要になります。
  詳しくは以下のチラシをクリックしてご覧ください。

市民講座R6.9.22

 #あ、QRコードなんざぁ、使いたくねえ!って方は、コチラからでもどうぞ。

んでわ。



tsurutaya at 21:10|PermalinkComments(0)

2024年07月29日

14歳で夏だった

まいど。
 人生の午後をおもしろおかしく暮らす、つるたやですが、
今回はちょっと暗い話をします。

 ワタクシのグリーフばなしです。

 今を去ること40数年前。

 ワタクシは中学三年生だったわけですが、夏休みに入って早々、
一週間ほど病院に通っていました。

 父が入院していたのです。

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 14歳とは微妙な年ごろである、と今でも思うが、色々な気づきと
蒙昧さが混在することに苛立ちながらも、まあまあ鈍感に
過ごしていたのだと、今なら思える。

 中三の僕は、高校受験をひかえていながら、勉学にまったく関心がなく、
部活動も幽霊部員で、もっぱら市の図書館に通っていた。

 そうやって日々だらだらと過ごし、中学生最後の夏休みに
何のヴィジョンもなかった僕に、母は、父の入院している病院に通うよう命じた。

 僕が夏休みに入るより前から、母は病院と家を毎日往復していたが、
これからは、僕が日中病院にいる間に、帰って家事をして、
夕方病院に戻って、僕と交代して泊まり込む、というのだ。

 今考えるとけっこうハードな話であるが、僕はそんな状況に
気づきもせずに、7日間父の世話をした。

 幸運にも、病院というものにあまり縁のない人生を送ってきたため、
最初の頃こそ興味津々だったが、そんなに自由が利く場所なはずもなく、
すぐに飽きて、楽しみといえば、玄関そばにある自動販売機にある
「グァバジュース」くらいであった。



 14歳の身としては、実父のシモの世話をするなんて、それこそ
驚天動地の出来事だったが、つまりは、父はもはやトイレに
起き上がれないくらいに消耗していたのである。

 父曰く「人間は食えなくなったらおしまいだ」とのことだったが、
すでに病院食もほとんど摂れずにいた。

 僕にバナナを食べさせるように言ってくることが、何回かあり、
剥いてゆっくり食べさせる、とかしてはいたが、あとで吐いていた、
という話を聞いたので、僕を安心させたかっただけだったのかもしれない。

 今思うと気丈に振る舞っていた父ではあったが、一度だけ
苦痛に耐えかねて、ナースコールを使ったことがある。

 その時の鎮静剤について、それがモルヒネであるとわかっても、
状況を理解ができなかったのは、若さゆえなのか、
否認、無意識に認めたくないだけであったのか、今でもよくわからない。

 ただ僕が帰る際に、父は決まって、駄賃に500円札をくれた。

 500円は、帰りのバス停前にある本屋で“山止たつひこ”という
ふざけたペンネームから、本名の“秋本治”に切り替えている
最中の“山止たつひこ改め秋本治”が描いている、
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』を一日一冊買って使った。

 気の滅入るような通院を、おちゃらけたギャグマンガで
少しでも薄めたかったのかもしれないが、なんでか、
使わなければいけない、そんな気がしたのである。

 7月の最終日、父が午後に手術をするということで、
明日からは通院しなくてもいい、と母に言われたときは、心底ほっとした。

 明日、8月1日から、ようやく普通の、中学時代最後の夏休みがおくれる、
そんな風に思ったような気もするが、もちろんそんなはずはないのであった。

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 今思うと父は瀕死の重病人以外の何物でもなかったのですが、
当時ワタクシには、そんな風には思えなかったのです。

 あ、そういえば、今でも母親は絶対死なないような気がしています。

んでわ。


tsurutaya at 23:30|PermalinkComments(0)

2024年07月22日

反語なのかしら「連続テレビ小説 虎に翼」

まいど。
 人生の午後をおもしろおかしく暮らすつるたやです。
 平日の朝ドラおもしろおかしく見てるつるたやです。

 やー、ワタクシ、朝ドラはわりとみている方でして、
平日5回連続放映して、土曜はダイジェスト、って構成にも
すっかり慣れました。

 で、今シーズンはコレですね。「虎に翼」

★ざっくりしょうかい
 日本で初めて、女性の弁護士、判事、裁判所長を全部つとめた
“三淵嘉子”という方をモデルにした、NHKのオリジナル作品です。

★先週の内容については、以下でざっくりしょうりゃく



 [虎に翼] 第16週 ダイジェスト だいたい2分でわかる
 【ネタバレ注意】| 朝ドラ | 連続テレビ小説 | NHK

 まあ、先週は、新しい環境で主人公寅子が、苦戦しつつも
信頼関係を構築していく、というような話でした。
 あわせて、親友である義姉や弟たちに頼りきりだった、
娘との関係修復も行っていくという感じ。

 ちなみに週でついているサブタイトルは「女やもめに花が咲く?」
なので、寅子に、好意なのかどうなのか、なにかしら興味を
持っているっぽい存在も描かれます。

 だがしかし!ワタクシ視点ですと、ズバリこの週は、

「グリーフ回」

 だったのであります。

 寅子になじまない地元の職員の一人である、書記官高瀬が
問題を起こして、寅子がそれに対処するエピソードがあるのですが、
その問題というのが、地元の有力者に、亡くなった兄について

「次男坊もしんぺえでぇ、成仏しねえろぉ」

などと言われてキレた、というものでした。

 書記官高瀬の中では、愛した兄について、他人に決めつけられるのは
我慢がならなった、ということかもしれません。

 グリーフ視点なしでも、田舎の息苦しさに辟易していた高瀬の気持ちと、
赴任以来寅子のおぼえていた違和感とがリンクするものだったと感じました。

 そしてこのエピソードでワタクシは「グリーフとは、人それぞれ違うものである」、
という基本を、この作品の脚本ではきちんとふまえているのだな、と思いました。

 このエピソードのみならず、主人公寅子のグリーフについても、
娘に戦死した夫のことを訊かれてても、語ることができない、という形で描かれます。

 彼女自身もまた、戦後という日々を生きることに精一杯で、
自らの悲しさに目向ける余裕のなかった、寡婦なのでした。


 そう考えると「女やもめに花が咲く?」というサブタイトルに
こめられた、脚本家の思いを感じるような気もするのです。 


んでわ。


tsurutaya at 23:21|PermalinkComments(0)

2024年06月17日

乾いた寿司は殺す「違国日記/ヤマシタトモコ」

まいど。
 人生の午後をおもしろおかしく暮らすブログを書き始めてから、
マンガを読むにも、ネタにならないか、つい考えてしまう、つるたやです。

 先日も、これは!、と思ったマンガを読んだので、ネタにしようと
思っていたら、今月映画が封切られたことに気づきました。
 タイムリーというか、世間に疎すぎるぞワタクシ。


★ざっくりしょうかい
 両親を突然の交通事故で失った“田汲朝”。
 彼女の両親の葬式の最中に心無い話をする親戚たちにぶち切れた
叔母の高代槙生(小説家)は、“朝”を引き取ることを宣言する。

 曰く、

「15歳の子供はこんな醜悪な場にふさわしくない
 少なくともわたしはそれを知っている
 もっと美しいものを受けるに値する」

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 しびれるセリフではあるが、なんとこのエピソード、二話目なのです。

 一話目はこれから3年後くらいの、二人の暮らしを描いているのでした。

 なんてトリッキー。

 これはあれだ、ワタクシ大好き予定調和的なやつかしらん?
、と思った時期がワタクシにもありました。

 このあと、物語は普通に時系列を追って、“朝”の成長と、
“朝”と“槙生”の関係の変化をていねいに描いていきます。

 “違国”とは“朝”が“槙生”は“違う国”のひとである、と感じることを
描いてていますが、実際は登場人物それぞれが“違う”という示唆に満ちています。

 作者は登場人物を凡庸な“普通の人”という描き方をしないので、
“普通に”誰もが“違って”います。

 本作をグリーフケアという切り口から見るのであれば
「突然の別離というグリーフを若者が受け入れていく物語」
と、いえるかもしれません。

 あるいは、
「憎んでいた姉との関係性を姪を通して整理していく物語」、
でもあるでしょう。

 人は見たいものを見るものだし、作者はそれをよくわかっているのだと思います。

 物語の冒頭で、槙生が、
「もっと美しいものを受けるに値する」

 とか、気を吐いている状況を、当の朝は、

「この日このひとは
 群れをはぐれた狼のような目で
 わたしの天涯孤独の運命を退けた」

 と(多分、振り返って、日記に)記していますが、この部分に限らず、
全編、含蓄深いフレーズがちりばめられているので、未読の方は是非お読みください。

 ちなみにワタクシの大好きなフレーズはこれです。



 「乾いた寿司は殺す」



んでわ。


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