本(まんが・小説・ほか)
2025年05月08日
日常の謎「空飛ぶ馬/北村薫」
まいど。
人生の午後をおもしろおかしく暮らす、つるたやです。
で、
その時期のミステリのセレクトには“書痴”FS君が
関わってきている
のですが、今回も彼の持ち込み企画(?)です。
これについては、ワタクシ、8年くらい前に某所で、こんな風に
紹介をしているのを発見してしまいました。
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今からちょうど30年前、講談社の仕掛けた“新本格ミステリ”ムーブメントが始まりました。
まあ、その話を始めると長いので、ワタクシの解釈を簡単に言うと
「昔ながらの謎解きを、あんまり古臭くない感じで書いた若手作家を売り出す」という動きです。
綾辻行人、有栖川有栖などなどの方々が第一世代、
京極夏彦、森博嗣なんかが第二世代とか色々です。以上終了。
さて、そんなミステリーファン大騒ぎの中、“人が殺されない”ミステリとして
出版された本書、「空飛ぶ馬」は大御所、鮎川哲也の肝いりで、平成元年に
東京創元社から出版されました。
作者北村薫は、性別年齢不詳の覆面作家であり、このへんの売り方に、
ミステリ出版界最古参の意地を感じたのはワタクシだけでしょうか。
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『ワタクシだけでしょうか』じゃないよ、って思いますが、さておき、
綾辻行人以来の“出たら買う作家”となりました。
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長年推理小説を読んでいる内に、殺人トリックの謎を解き明かすことが
愉しみになっていたワタクシにとって、“人が殺されない”ミステリは
それなりに事件でした。
だって、新本格とかって、連続殺人が基本で、顔がわからなかったり、
首が無かったりは日常茶飯事で、血腥いことこの上もなし、でしたから。
別に殺人のトリックでなくてもいいじゃん?(もともとスプラッターは苦手である)
そう思ったのは当然でしょう。
そう、我々(誰?)は、ただ単に、うまく騙されたいのです。
しまった!その手があったか!と驚きたいだけなのです。
日常のいたるところに謎は在り、また謎などは無いのであります。
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なんか以前泡坂妻夫の時に似たようなことを書いてたような気もしますが、
綺麗にだましてくれればそれでヨイのです。
蛇足:北村薫のデビュー作となった本書は、その後シリーズ化されたわけですが、
東京創元社から出たハードカバーの表紙は全て高野文子によるもので、
ちょっとずつ成長する主人公が描かれており、とても良い仕掛けでした。
創元推理文庫で文庫版が出るにあたって、その表紙をそのまま採用したのは
英断であったと思います。
それでは表紙絵コレクションをどうぞ。

んでわ。
tsurutaya at 23:30|Permalink│Comments(0)
2025年04月07日
まんが愛クロニクル 幕間
まいど。
人生の午後をおもしろおかしく暮らす、つるたやです。
しばらくお休みしていた、私的マンガの記憶を絞り出すコーナー、
ネクストシーズンに向けて、索引をつくっておりました。、
前半戦の索引を出したのが昨年の8月下旬でしたから、かれこれ8か月。
その間、5回にわたって、幼少期から十代までのマンガの記憶を
掘り起こしてきました。
あとから読み直すと、大分漏れもあるような気がしますが、
ワタクシの場合、こういうのはイキオイが大事なので、深く考えずに
先に進まないと頓挫します。
ということで後半戦いってみよう(ドリフ味)。
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■酒とマンガの日々:(1983年4月~1988年3月)
大学に入って、多種多様なジャンルのマンガを読みました。
情報量が多いため、数回に分けて出すと思われます。
■時代の終わりとハートブレイク・マンガーランド:(1988年4月~2000年)
サラリーマンになって早々、昭和が終わり、
まごまごしているうちに20世紀もおわってしまった、そんな中、
大人マネーで、買ったマンガが五万冊♪(ウソ)
■ボク東京さ行くだ(2001年~2015年)
バブル崩壊もIT特需も、一介のサラリーマンには、
歓迎できないイベントであった、と今は思うのです。
流れ流れて東京暮らし、東京ならではのマンガ関連エピソードが
語られます多分。
■人生の午後をゆるぐ過ごす(2015年~2025年)
このあたりはまぁ、当ブログを読んでいただければいいかな、と
思っておりますが、総括でもするのかしら?(未定)
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以上、ざっくり書いてしまったので、後日苦労しそうな気もしますが、
気長にお待ちください。
んでわ。
tsurutaya at 23:30|Permalink│Comments(0)
2025年02月26日
世界三大SF作家そのいち「ロバート・A・ハインライン」
まいど。
人生の午後をおもしろおかしく暮らす、つるたやです。
ここのところミステリねたばかりで、SFの紹介がおろそかに
なっていると感じているのですが、実際、小説はミステリ以上に
読んでいない気がします。
まあ、マンガやアニメがSFばかりのようなので、それを
紹介するべきなのかもしれませんが、一応、根っこのような
ものは一通り書いてみたいと思っているのです。
と、いうことで、以前日本のSF作家の紹介として、
“SF御三家何を読む?”シリーズを書いたように、
やっちまいましょう、類似企画“世界三大SF作家”を!
三大モノは、どうも3つ目まで書けないことが多いのですが、
おいといて、今回はこの方『ロバート・A・ハインライン』です。
20世紀のSF界隈で最も権威のあるヒューゴー賞を、
全く毛色の違う作品で4度も受賞しているのですが、
ここ日本においては「夏への扉」という作品が
その4作以上に人気があります。
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小学校の図書館にあった、あかね書房の『少年少女世界SF文学全集』は
岩崎書店の『SFこども図書館』と並び、僕らSFキッズへの福音であった。
僕の通う小学校の図書館には、20冊の全集全てがあるわけではなかったが、
SF小説自体がそんなに置いていなかったので、次から次へと借りては読み、
翌日には返して、また別のを借りて読んでいた。
そんな中で、一番好きだったのはこの一冊である。
ロバート・A・ハインライン作
福島正実訳
世代宇宙船なんて言葉も知ぬまま、その世界をただ楽しんでいた。
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この作品が「宇宙の孤児」であると知るのは随分あとのことでした。
まあハインラインで最も有名なのは“パワードスーツ”を発明した
「宇宙の戦士」でしょうか。
本作はポール・バーホベンが「スターシップ・トゥルーパーズ」として
実写映画化しています。
それより10年ほど前に日本でアニメ化されているんですが、
多分あまり知られていないんじゃないかしらん。
んでわ。
tsurutaya at 02:26|Permalink│Comments(0)
2025年02月17日
ワタクシと酒本2(酒話外伝)「ポケット・バー・ブック」
まいど。
人生の午後をおもしろおかしく暮らす、つるたやです。
今でこそ酒に関しては、あれやこれやを飲んだことがある
ワタクシですが、貧乏な大学生時代なんかは、そうそう変わった酒を
飲めるはずもなく、酒情報を得るために、それはもう貪欲に
酒に関する本を読んでいました。
まあ、若いころから本で酒へのアコガレを育んできたわけで、
当然の流れではあります。
ありますが、まあ、いくら読んでも酔っぱらいません。
必然的に貧乏学生は酒に詳しい先輩にたかりにいくのでありました。
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その先輩KNさんは、僕の所属する大学サークル内屈指の
文章の書き手だった。
ショートショートのアイディアをどう描くかに腐心する僕なんかと違って、
プロットに沿って動くキャラクターをうまく描けるKNさんは、
雲の上の人、のように思っていた。
KNさんは、サークル誌に創作を載せる際、カクテル名を
もじったペンネームを使っていた。
僕はというと、ちょっとこだわりを感じるその名前から、
きっと酒に詳しいであろうと推察し、彼の下宿まで酒をたかりに行ったのであった。
きっと酒に詳しいであろうと推察し、彼の下宿まで酒をたかりに行ったのであった。
色々なセンパイにたかり続けていたので断言できるが、
大体どの先輩の部屋に行っても、色々な本が床に平積みになっているものである。
大体どの先輩の部屋に行っても、色々な本が床に平積みになっているものである。
KNさんの部屋も例外ではなく、まあまあの物量があったが、
その中に異質な一角があった。
その中に異質な一角があった。
ビデオテープ用の陳列ケースに収まった、カクテルグラスやシェイカー、
ミキシンググラスなどのバーセットである。
とはいえ、カクテルなんかはそれなりに材料がないといけないし、
気軽に作れるものでもない。
結局は道具を自慢されつつ、バーボンかなんかを飲んでいたような気がする。
そんなバー用品一式の中に、一冊の本があった。
マイケル・ジャクソン!?
と、その時にはゲラゲラ笑ったものだが、業界的にはとても有名な方である、
と、後に知ることとなった。
と、その時にはゲラゲラ笑ったものだが、業界的にはとても有名な方である、
と、後に知ることとなった。
当時持っていたカクテルの本には、作り方だけしか載っていないのに対し、
時には変な警句も語られるし、知らない酒が沢山載っているという、
内容がとても濃密な、夢のような本であった。
例えば、ブラディーメアリーの項にはこんな一節がある。
『なんでも混ぜるのか好きな人は、セロリの葉や卵白を混ぜるともいうが、
飲み物にするか食べ物にするか、決めるのは自分自身だ』
八方手を尽くして入手したくらいに、気に入ってしまったのであった。
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ちなみに、当時持っていたカクテルの本はこれです。
まあ当時から、ハマショーよりはマイケルのが好みではありました。
んでわ。
tsurutaya at 23:30|Permalink│Comments(0)
2025年02月10日
小説を読むように聴く音楽 by YOASOBI
まいど。
人生の午後をおもしろおかしく暮らす、つるたやです。
ワタクシ、音楽の紹介はロックばかりですが、実は
YOASOBIというユニットの楽曲はけっこう好きです。
2023年の『アイドル』が流行りすぎた印象がありますが、
まあ、“小説を音楽にするユニット”というコンセプトが
面白かったのです。
『4人の直木賞作家が、
“小説を音楽にするユニット”YOASOBIとコラボレーション!』
ってことで、直木賞作家4人にテーマを決めて競作をさせて、
更にその新作小説をもとに、 YOASOBIが楽曲も作っちゃいました、
という企画なのです。
小説のほうからYOASOBIにラブコールした企画になってますね。
以下、ざっくりとしたあらすじを引用しつつ、対応する楽曲をご紹介。
しますけれども、まあ、できれば小説を読んでから視聴する方が
よろしいかと思います。
読んだからわかるのかもしれないけど、けっこうネタバレしている気がするので。
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■島本理生
『私だけの所有者』―― はじめて人を好きになったときに読む物語
アンドロイドの「僕」と所有者との間に何があったのか。
とある国の施設に保護された僕は、「先生」に手紙を書きはじめた。
YOASOBI「ミスター」Official Music Video
コラボというか、ほぼ原作を再現していて、けっこういい出来の
短編アニメになっている。曲的には一番好き。
短編アニメになっている。曲的には一番好き。
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■辻村深月
『ユーレイ』―― はじめて家出したときに読む物語
家出をして海沿いの駅に降り立った私は、花束が手向けられた夜の広場で、
突然、不思議な女の子から声をかけられた。
YOASOBI「海のまにまに」Official Music Video
非日常←→日常、という実に辻村深月っぽい話をうまく映像化しているかな。
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■宮部みゆき
『色違いのトランプ』―― はじめて容疑者になったときに読む物語
並行世界で起きたテロへの関与を疑われ、捕らわれた愛娘の夏穂。
宗一は夏穂を救いに、単身、もう一つの〝鏡界〞へと向かう。
YOASOBI「セブンティーン」Official Music Video
宮部みゆきは色んな作風で書くけど、これはあまり無いパターンの
ような気がする。のに寄せた感じの動きのある音と映像と。
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■森絵都
『ヒカリノタネ』―― はじめて告白したときに読む物語
幼馴染の椎太が好きでたまらない高校生の由舞は、四回目の告白を
確かなものとするため、過去の告白を消し去ろうとする。
YOASOBI「好きだ」Official Music Video
これまた違ったテイストの曲で、4曲全然違う演出で作るの
大変だったであろうなと思う。好みじゃないですがw
大変だったであろうなと思う。好みじゃないですがw
以上、特設サイト(https://www.yoasobi-music.jp/hajimeteno/)より引用
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とまあ、小説を紹介した以上楽曲も、と思って並べてみましたが、
一番好きな曲を紹介しないとすっきりしないのでオマケを。
板垣巴留のマンガ『BEASTARS』(ビースターズ)の
アニメ第二期オープニングとエンディングです。
YOASOBI「怪物」Official Music Video (YOASOBI - Monster)
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YOASOBI「優しい彗星」Official Music Video (YOASOBI - Comet)
作品の世界観とキャラクターをしっかり描いているところが
とても良いのです。特に『怪物』はYOASOBIで一番好きな曲です。
え?じゃあソレをちゃんと紹介しろって?
まあ、真打は最後に登場ってことでごかんべんを。
え?じゃあソレをちゃんと紹介しろって?
まあ、真打は最後に登場ってことでごかんべんを。
んでわ。
tsurutaya at 23:30|Permalink│Comments(0)